A/秋田ハウス(株)の外張断熱工法は、屋根・壁・基礎など、建物の外周を防湿・気密材と断熱材で完全に覆う工法です。
この工法により、防湿・気密材と断熱材に連続性が生まれ、住宅の防湿・気密および断熱の欠落部分がなくなります。このことで、住宅の高い断熱性能と、高い防湿・気密性能が発揮され、健康・快適で省エネルギーな、長寿命住宅になります。
現在は外張断熱工法を採用していますが、高性能住宅第一号を完成した1988年から1992年の間は、内断熱工法を採用していました。内断熱工法と言っても、住宅性能に取り組んでいない住宅と比べると、住宅性能は数段上で、お客様から喜ばれ、評価を頂いておりました。
しかし、構造材の間に断熱材を充填する内断熱工法では、構造材が外気と直接接触する部分(断熱面の欠落部分)が断熱面積全体の約20%〜30%もできてしまうことで、以下に示すような2つの問題点が起きてしまいます。
1つ目は、内断熱工法は外張断熱工法と比べて暖冷房費がかさむほか、壁内・床下などに結露が発生し、腐朽菌・シロアリの被害を引き起こす可能性があるという問題点です。これは、断熱面の欠落部分が熱橋(室内と室外の間に熱を伝える橋)となり、断熱性能が低くなってしまうことで生じる問題点です。
2つ目は、断熱材が欠落した部分の木材(構造材)が、外気側と室内側の大きな温度差によって、反ったり・割れたりする可能性があるという問題点です。このことは最悪の場合、気密・断熱性能の低下に繋がります。
この2つの問題を同時に解決するためには、基礎や構造材の外側に防湿・気密層と断熱層を設けることが必要であるとわかり、問題解決のために外張断熱工法を導入致しました。導入は簡単そうにみえましたが、構造面・技術面・コスト面等、様々な難問がありました。それらの難問を解決し、現在ではコストを抑え、かなり完成度の高い外張断熱住宅を施工することができております。
ちなみに、1988年当時、現在と変わらない気密・断熱の施工方法を採用して建築した当社の秋田営業所社屋には、現在でも経年変化による気密・断熱性能の低下がみられません。
A/外張断熱工法のメリットは、大きく分けて以下に示す4つが挙げられます。
1) 高い断熱性能と、高い蓄冷・蓄熱性能を発揮
屋根・壁・基礎など建物の外側を防湿・気密層と断熱材で覆うため、防湿・気密層と断熱材の連続性が生まれ、気密性が高まると共に、さらに、断熱材の欠落部分が無くなり、高い断熱性能が発揮されます。その結果、建物に使用される構造材・建材・基礎・床下の土間コンクリート・設備機器や家具に至るまで、全ての物に、冷・暖房器から放熱された熱や窓から差し込んだ太陽光の熱、生活で発生する熱などが、蓄冷・蓄熱され、それらの熱が有効に活用されます。このような高性能住宅の場合は、蓄冷・蓄熱効果により、省エネルギーで室温を一定に保つことが可能になります。
たとえば、暖房時に室温を20℃に設定すると、室温が20℃になると暖房器から熱の供給が止まります。どんなに高性能な住宅でも、少ないですが漏気があり、断熱性能の高い断熱窓といえども、窓のガラスから熱が逃げます。しかし、高性能住宅なら、熱が逃げても、蓄熱されていた物から放熱されて、逃げた分の熱を長時間補うため、室温はなかなか下がりません。放熱しきると、徐々に室温が下がり始めます。それをセンサーがキャッチし、暖房器から熱の供給が始まるという繰り返しで、省エネルギーで常に設定した室温を保ちます。冷房時には家が蓄冷するため、暖房時と同様に省エネルギーで健康・快適な温熱環境を保つことができます。
熱橋や漏気の多い住宅は、せっかく暖冷房をした相当の熱が、熱橋を伝わり外部に放熱されるほか、隙間からの漏気で熱が外へ逃げてしまい、エネルギーロスになってしまいます。熱の逃げる場所が壁中・床下などであれば、その部位に結露が発生しやすくなります。
2) 結露が発生しにくく、カビ・ダニや腐朽菌、シロアリの被害が少ない
外張断熱工法では、構造材の外側から防湿・気密層工事を行うため、施工がしやすく、高いレベルの防湿・気密施工が可能です。
基礎の防湿・気密と断熱の施工は、内断熱工法の場合は困難で、完全な施工がしづらいのですが、外張断熱工法の場合は簡単で、防湿・気密材と断熱材を基礎の側面に隙間なく貼り付けていくことでしっかりと施工できるため、気密・断熱性能の高い住宅になります。
床下がしっかりと計画換気されており、温湿度環境が室内の環境とほぼ同じになっているほか、壁中・小屋裏の温湿度環境も室内の環境とほぼ同じになっているため、結露の発生が極めて少なくなり、構造材や床下の土台その他木部において、腐朽菌やシロアリの被害を受けにくくなっています。また、結露が発生しないことで、カビ・ダニが発生しにくく、健康で快適に暮らすことのできる環境が維持できます。
3) 経年変化が少ない
基礎の立ち上がり(布基礎)部分が気密材・断熱材でサンドイッチされて、雪・雨・風や夏の高温、冬の低温から守られるため、基礎が長寿命になります。
構造材が常に室内の温湿度環境に近い状態にあるので、木材に反り・割れなどが生じにくく、年月を経ても建築当初に近い性能を維持することができます。
4) 小屋裏や床下空間を有効に利用することが可能
通常、小屋裏や床下はデッドスペースとして温熱・空気環境が考慮されませんが、当社の外張断熱工法の住宅では、結露やエネルギーロスを起こさないために、小屋裏や床下を室内空間と同様の温熱・空気環境にしてあります。そのため、小屋裏や床下空間を大きな収納などとして有効に利用して頂くことが可能です。また、小屋裏をロフトやシアタールーム、メンテナンススペースなどとしてご使用頂くことも可能です。
外張断熱工法のデメリットは、導入当初、かなりコストがかかったことです。しかし、その後十数年かけてコストダウンに成功し、現在では内断熱工法より少々割高ですが、内断熱工法の数段上の高気密・高断熱住宅が施工できるという状態です。近い将来には、他の断熱方法と同程度の価格か、他の断熱方法よりも安い価格に設定できるよう、当社では努力しております。
A/基礎部分と壁面の断熱には(株)カネカ社製の“カネライトスーパーE”というボード状の断熱材、屋根面の断熱には“ソフランR-ウィズホーム”という現場吹き付けの発泡系断熱材を使用しています。
基礎部分と壁面の断熱に“カネライトスーパーE”を使用している理由とメリットは、熱伝導率が0.028[W/m2・K]以下と、優れた断熱性能を持つことと、吸水・吸湿性がほとんどなく、断熱材の大敵である水をシャットアウトし、断熱性能の低下を防ぐことです。また、オゾン層破壊や地球温暖化の原因物質となっているフロンを全く使用していないほか、コストが手頃なことも、メリットとして挙げられます。
屋根面の断熱に“ソフランR-ウィズホーム”を使用している理由とメリットは、発泡して構造躯体に密着するため、施工の難しい屋根面に隙間ができないほか、グラスウールのように経年変化しないことです。また、人体に有害な物質を発散しないので安心できます。
A/仮に、外気温が秋田県内の過去30年間の最低気温以下に下がったとしても、平均的な湿度の範囲(40%〜70%)では、壁の表面・壁の中・床下・土台回り・小屋裏などが露点温度以下の温度にならないように、基礎・壁・屋根の断熱性能を上げています。
また、同様の条件下においても窓ガラスに結露が発生しないよう、断熱性能の高い樹脂の断熱サッシを使用しています。
温度条件が同じでも、湿度が80%〜90%と、平均的な湿度を超えて高湿度になってくると、露点温度が高くなるために結露が発生してきます。
このような場合、換気不足が原因であることが多いので、しっかりとした計画換気が必要になります。当社では、秋田ハウス(株)が最も得意とするマッハシステムを使用して、結露の発生を防いでいます。
A/ 秋田ハウス(株)の住宅に結露が発生するとすれば、以下の3つの原因が考えられます。
1つ目は、基礎・壁・屋根の断熱性能に問題がある場合です。2つ目は窓の断熱性能に問題がある場合です。3つ目は計画換気に問題がある場合です。
当社では、住宅に結露が発生しないよう、細心の注意を払って建築させて頂いておりますが、万一住宅に結露が発生してしまった場合には、そのいずれかの問題を解決するよう、誠意をもって対応させて頂きます。
A/シロアリが発生する場所は、主に床下・壁の中の木部です。発生する原因は、その場所の温度・湿度がシロアリの発生に適した環境になっているからです。そこで、シロアリが発生しやすい床下や壁の中の木部をシロアリの発生に適さない環境にするため、当社ではしっかりとした防湿・気密施工と断熱施工、計画換気を行っております。
外部に面した布基礎は断熱材でサンドイッチされ、断熱・気密化されています。床下の土間空間には、土中の水蒸気が建物内に浸入してこないようにグランドカバーをし、その上に100ミリ厚のコンクリートを打設しています。このことで、床下空間は居住空間と同様に断熱・気密空間内にあり、温度・湿度が一定に保たれるようになっています。さらに、床下空間の計画換気をしていますので、結露現象が起きづらく、結果として、シロアリ・腐朽菌が発生しづらい環境になっています。
壁体内については、室内で発生した水蒸気が壁体内に浸入しても結露しないよう、屋根と外壁の内側に設けた通気層を通して、屋根の棟換気口や軒天から水蒸気を逃がす家づくりをしています。なお、温かい空気が上昇する原理で、通気層内の水蒸気を含む空気が上昇し、常に排気されるようになっています。
当社がこのような工法で施工し始めたのが1988年からで、現在までの施工実績棟数は750棟を超えています。その間に、決められた正規の工法で施工された住宅からのシロアリ・腐朽菌の被害は一棟も発生していません。
A/カビ・ダニも、シロアリ・腐朽菌と同じく高湿度な環境を好みます。そこで、床下・小屋裏・壁の中を含む、住宅全体の気密・断熱性能を上げると同時に、計画換気をしっかりと取り入れて、高湿度な環境を作り出さないようにしています。
A/第一種熱交換型換気システム(マッハシステム)により、全館と床下の24時間計画換気を行っております。
当社では、お客様の健康と住宅の耐久性を考えた結果、当社マッハシステムを標準仕様としております。ただし、このマッハシステムは、当社の高気密・高断熱住宅だからこそ能力を発揮できるシステムなのです。
マッハシステムのメリットは、大きく分けて以下に示す7つが挙げられます。
1) 全館暖冷房により、健康・快適な温熱環境で、ヒートショックの心配が少ない
当社の高気密・高断熱住宅に気調システムを導入することにより、省エネルギーで全館を暖冷房することができ、居室だけでなく、廊下・トイレ・脱衣洗面室・浴室を含め、住宅内の温度差がほとんどなくなります。このことで、住宅内が健康・快適な温熱環境となり、温度差による急激な血圧上昇が引き金となって起こる、心臓病や脳疾患などのヒートショックが、住宅内で起きる心配が少なくなりました。
2) 良好な空気質環境になる設計・施工
住宅内が良好な空気質環境になるよう、新鮮な空気が居室に給気されるように、給気口を主に居室に設けます。また、外気に含まれる花粉や粉塵が除去できる、高性能な給気洗浄フィルターが内蔵されており、花粉の約80%の侵入を防ぎます。
一方、排気では、住宅内の汚れた空気を効率的に排気できるように、排気口をトイレ・洗面・ホールなどの空気が汚れやすいゾーンに設けます。ただし、当社のように気密性能の高い住宅でないと、このような空気の流れをしっかり確保することができません。
また、建築基準法で定められている必要換気回数(0.5[回/h]=家中の空気が2時間で1回入れ替わるだけの換気量)を上回るように、マッハシステムを設計・施工しております。設計時には、換気図を基に、送風機から給排気口先端までの抵抗値を計算し、換気量を計算しています。なお、この計算内容は、機械換気量計算書として、確認申請時に提出しております。さらに、工事完成後には、計算通りに実際の換気量が出ているかを確認するために、風量測定器を用いて測定しています。
このように、規定通りの換気を行うことで、空気中の粉塵や室内で家具や日用品などから発生する化学物質を排除できると共に、カビ・ダニの発生を抑えることができるため、健康・快適にお過ごし頂ける空気環境となり、シックハウス症候群の発症を防ぐことができます。
当社では、お引渡し当初から健康・快適にお住まい頂ける空気環境づくりに取り組んでおります。
3) 熱交換により、換気による熱ロスが少なくなり、省エネルギーで健康・快適な温熱環境にできる
マッハシステムは、屋内空気と屋外空気の熱交換を行い、約70%の熱を回収することができるため、熱ロスが少なく、年間の暖冷房費を抑えることができます。また、外気を室内空気の温度に近付けることができるため、省エネルギーで、暖房時には暖かく、冷房時には涼しい、新鮮な空気を給気することができます。第三種換気システムでは、冬期の冷たい空気を給気口からそのまま内部へ取り入れるため、給気口の周囲で不快な思いをすることがありますが、当社のマッハシステムですと、外気を快適な温度にしてから給気をするため、不快に感じることが少なくなります。
4) 湿度交換により、結露・カビ・ダニの発生を防ぐ
マッハシステムは全熱交換方式のため、温度交換だけでなく外気と室内空気の湿度交換を行うことができます。夏期や梅雨には湿気浸入を少なくし、冬期には室内の過乾燥を抑制することができます。このことにより、結露を防止し、カビやダニの発生を防ぐほか、健康で快適な湿度環境にすることができます。
5) 床下換気により、健康・快適で長寿命な住宅になる
当社では、居住空間の換気とは別に、床下空間の換気を行っております。床下換気により、床下の臭気や、床・下地合板から発生する揮発性有機化合物(VOC)を排除することができます。また、床下換気により床下の湿度をコントロールすることができ、シロアリや腐朽菌の発生を防ぐことができるため、家が長持ちします。床下換気の給気は、一階の居室から行うため、床下の内部が適温となり、冬期には床暖房をしているかのように、足元が温かく、快適な温熱環境になります。
6) 換気口による気密・断熱性能の低下が少ない
マッハシステムを採用することで、換気口が外部へ貫通する部分を少なくすることができ、換気口によって住宅の気密・断熱性能を損なう心配が少なくなりました。さらに、換気口を取り付ける場合は、屋外貫通部に発泡ウレタンを施工し、気密を損なわないよう注意しています。また、換気口の屋外フードが少ないために、外観をすっきりさせることができます。
7) 住宅内が静かな音環境になる設計・施工
マッハシステムは24時間連続運転していただくので、就寝時のことも考慮し、住宅内が静かな音環境になるよう、設計・施工しております。換気の機械を施工する際には、必ず防振ゴムを使用し、モーター回転中の振動を防いでおります。また、各居室の給気口の取り付け位置や風量バランスを考えて、設計・施工しております。
A/当社の高気密・高断熱で、暖冷房時に高い蓄熱・蓄冷効果を発揮する住宅に、マッハシステムを導入することで、省エネルギーで全館を暖冷房し、家の中に温度差を生じさせないようにしております。当社の住宅では、住宅内が全館ほぼ同じような温度になるため、大きな温度差が生じることはありません。
A/当社の住宅は、気密・断熱性能が高く、屋根・外壁・窓などから熱が入りにくい、冷房効果の高い住宅になっています。そのほか、屋根・外壁の表面で温められた熱風を、屋根と外壁の内側に設けた通気層を通して、屋根の棟換気口から取り除き、室内側に熱を伝わりにくくしています。 そのほか、例え、外気温が30℃を越えている時期であっても、外の風を室内に取り入れると、涼しさを感じて心地よい時があります。このような時には冷房を使用せずに、風取りの入口・出口を決めて頂き、家の中に涼風を取り入れて頂いております。 また、室温上昇を防ぎ、冷房ロスを少なくするために、すだれ・カーテン・ブラインドなどご使用頂き、開口部からの日射の侵入を防いで頂いております。
A/当社で標準仕様としている第一種換気の全熱交換換気では、湿度交換ができます。湿度交換を行うことにより、外気に含まれる水分の約半分を室内に浸入しないように抑制しますので、新鮮な外気を、湿度を低くして室内に取り入れることができ、梅雨でも快適にお過ごし頂けます。その他に除湿機能も付いていますので、室内空気の湿度をさらに下げることも出来ます。
A/外部に面する布基礎を断熱している理由には、大きく分けて以下の3つが挙げられます。1つ目は、基礎を風雨・夏の高温・冬の低温などから守ることができ、基礎が長持ちするということです。2つ目は、床下空間が常に室内空間の温湿度環境に近い環境になることで、床下空間の結露の発生が極めて少なくなり、床下の土台その他木部が、腐朽菌やシロアリの被害を受けにくくなるということです。さらに、結露が発生しないことで、カビ・ダニが発生しにくくなります。3つ目は、暖冷房時のエネルギーロスが少なくなるほか、1階の床が冬に冷たかったり、夏に暑かったりすることがなく、健康で快適に暮らせる床下環境が維持できるということです。
外部に面する布基礎の断熱方法は、外壁と同様、株式会社カネカの“カネライトスーパーE”を用いた外張断熱です。布基礎を断熱する場合には、100mm厚相当の断熱材で断熱をする必要がありますが、布基礎の外気側だけに100mm厚断熱材を施工するのでは、断熱材が外側に出過ぎて、収まりが良くありません。そこで、布基礎の外気側と室内側の両側から50mm厚の断熱材で布基礎を挟み込み、サンドイッチ状態にして断熱しています。
A/UA値とは建物の断熱性能を示すために用いられる指標となります。これは天井・外壁・床・窓など各部位の熱の伝わりやすさを合計して計算される値で、数値が小さいほど断熱性能が良いことになります。
秋田ハウスの住宅のUA値は、煉瓦積みの家でUA値=0.44W/m2・K、煉瓦積みの家プラスでUA値=0.28W/m2・K(モデルプラン35坪での試算)となっています。この数値は平成28年に通産省・建設省で告示されたばかりの「次世代省エネルギー基準(Ⅳ地域)」のUA値=0.75W/m2・Kをはるかに上回る断熱性能です。
またZEH対応としても、住宅そのものの断熱性能が高いことで熱損失が少なく済み、必要最低限の太陽光発電搭載にて実現します。
秋田ハウスでは、断熱性能だけではなく、いかに隙間のない住宅(Q値の重要性)も高めることでより長寿命且つ省エネルギー性の高い住宅をご提案しています。
A/C値(隙間相当面積)住宅の気密性能を示す指標で、住宅の床面積に占める隙間面積のことです。C値は、値が小さいほど、住宅の気密性能が高いことを示します。
建物の気密・断熱性能と室内居住環境や熱損失量、冷暖房エネルギー消費量、内部結露防止や適切な計画換気は、深く関わっており、気密性能が高いほど、住宅は望ましい方向に進みます。
なお、住宅には、以下に示す4つの項目をいずれも適切に満足するだけの気密性能が必要であると言えます。
(1)健康的で快適な居住環境を実現する
(2)計画的な換気をする
(3)内部結露を防止する
(4)住宅の熱損失を少なくする
気密化の必要性は上記の通りです。その中でも、高い気密性が必要な一番の要因は、計画的な換気の実現です。風や室内外の温度差の影響を受けずに、必要な換気量を確実に換気するためには、計画的な機械換気が必要になります。気密性能は、この機械換気が、計画どおりの換気量と換気経路で有効に働くかどうかのカギを握っているのです。
A/当社では、床下・小屋裏空間も居室空間と同様に気密・断熱化されているほか、計画換気をしています。これにより、床下・小屋裏空間が居室空間とほぼ同様の温湿度・空気環境になっており、快適で健康的な生活ができるほどの空間になっています。このことは、床下・小屋裏空間に結露の発生を防ぎ、シロアリや腐朽菌の被害を防ぐと同時に、住宅のエネルギーロスを抑えるため、省エネルギーになります。 従いまして、床下・小屋裏の点検口に特別な配慮は必要ありません。
A/レンガ積み外壁について
耐震性:
関東大震災で倒壊したレンガ造りの建物と、阪神・淡路大震災で倒壊を免れたレンガ造りの建物とでは、工法に大きな違いがあります。
関東大震災時の工法は、レンガと建物の構造躯体の中空部をモルタルで充填してがっちり固定する、中実積み工法が主流でした。しかし、レンガ壁と躯体は、熱膨張時や地震時に異なる動きをするため、損傷を受け易い構造であったといえます。
当社が採用している中空積み工法では、構造躯体の基礎とは別に、レンガ専用の基礎を設けおります。躯体から離して積み上げたレンガ壁を、適当な間隔で鉄製(亜鉛メッキ)のウォールタイで躯体に保持することにより、躯体とレンガ壁の間に空気層を設け、躯体とレンガ壁が別々に動けるようにしたものです。このことで、一般的に使用されている外壁材とは異なり、木造躯体にレンガ壁自体の重量の負担を掛けることがないので、地震に強い家になります。また、レンガ壁にかかる家全体の荷重負担が少なくなるため、壊れにくい外壁になります。
レンガ壁は、レンガに開いている穴を利用して、鉄筋を縦横に配筋し、さらに鉄製(亜鉛メッキ)のウォールタイで構造躯体にしっかりと連結します。それにより、地震が起きても外壁のレンガが構造躯体から剥がれない構造になっています。
耐久性:
中空積みで造られる、構造躯体とレンガとの間の空間は、風の通り道の役割を果たします。この風の通り道が優れた呼吸機能を発揮することで、住宅内の結露発生を防ぐと共に、躯体の劣化を防ぎます。また、基礎からレンガを積み上げたレンガ外壁は、構造躯体にレンガ外壁の自重の負担をかけません。それにより、地震や台風に強い構造躯体になります。
経済性:
レンガの外壁は、メンテナンスが不要で、10年〜15年に一度の外壁の塗り替えや補修のための費用が必要ありません。そのほか、レンガの優れた断熱性能により、暖冷房費を抑えられます。
景観性:
レンガの外壁は、重厚感のある、本物の質感が得られます。レンガは焼き物なので、いつまでも変色せず、むしろ、月日の経過と共に、味わい深く、飽きることのない風格を増していきます。
遮音性:
レンガを中空積み工法で積んだ外壁は、遮音性が高く、外部の騒音をシャットアウトするため、静かで快適な居住空間になります。
調湿性:
レンガは呼吸します。上質の粘土を使って焼き固められたレンガは、土壁と同様に吸湿性・排湿性があり、自然に湿度を調節するため、結露を起こしにくい特徴があります。
断熱性・耐火性:
レンガの厚みと中空積みによる空間が、家全体の断熱性を高める役割を果たします。そのため、夏は涼しく、冬は暖かくお過ごし頂くことができます。
レンガは不燃性で、耐火性に優れた材料です。
耐凍害性:
レンガは、1,100℃以上の高温で焼かれてセラミック化するため、水を寄せ付けず、凍害を起こすことがありません。
冬期には気温が−20℃以下になる北海道旭川市において、約5年前から現在までに建てられた100棟以上のレンガ積み住宅で、凍害の被害がゼロであったとのことです。
当然、当社で建てられたレンガ積みの家も、凍害の被害がゼロです。
A/ レンガ以外の外壁材には、窯業系サイディング、金属サイディング等を使用しています。
(1)窯業系サイディングについて
耐震性:
外壁材の重量は、地震時に住宅の構造躯体にかかる荷重負担を左右させます。住宅一棟当たりの窯業系サイディングの重量は、モルタル・タイル壁の1/2以下と軽く、地震時に住宅にかかる荷重負荷を軽減します。
防火性:
窯業系サイディングは、国土交通大臣認定の不燃材料であり、構造材として準耐火構造の認定を取得したものを使用しています。
断熱性:
優れた断熱性を発揮し、熱損失を少なくします(モルタル壁の約7倍の断熱性能)。
遮音性:
外からの騒音を軽減し、心地よい居住空間にします(外部騒音が60dBのとき、室内騒音は27dBになります)。
(2)金属サイディングについて
耐震性:
金属サイディングは軽量のため、住宅の躯体に強い地震力を受けることはありません (金属サイディングの重量は、窯業系サイディングの1/4、モルタル・タイル壁の1/10です)。また、建物の変形に柔軟に対応し、歪みを吸収するような工法で施工しています。
防火性:
木造下地は、国土交通大臣認定の不燃材料で、構造材として準耐火構造の認定を取得したものを使用していますので、飛び火にも安心です。
耐凍害性:
凍結・融解の繰り返しで、外壁材は劣化する恐れがあります。その点、金属サイディングは表面の金属が凍害を寄せ付けないため、寒冷地でも安心です。